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【16.09.04】保険あっても介護なし

介護利用2割負担  安心の土台がますます壊れる

 厚生労働省は8月19日の社会保障審議会介護保険部会で、制度発足以来1割負担となっている介護保険の利用料について、2倍の2割に引き上げるなど負担増に関する論点を示しました。利用者団体などから「負担はすでに限界だ」「必要なサービスが使えず重度化が進む」との声が上がっています。
 厚労省は、「制度の持続可能性を高める」として、
(1)昨年8月から一定の所得者(合計所得160万円以上)について利用料の1割負担を2割に引き上げたが、2割負担の人をさらに増やす
(2)3万7200円の自己負担上限(高額介護サービス費)を、医療保険の現役並み所得者と同水準である4万4400円に引き上げる
(3)介護施設入所の低所得者に対する「補足給付」(食費・居住費補助)について、昨年8月から一定の預貯金などがある場合は対象外としたが、宅地など不動産を保有している場合も新たに対象外とする
(4)40〜64歳が負担する保険料の計算方法を見直し、収入に応じた「総報酬割」の導入により、健保組合や共済の負担が増える代わりに協会けんぽの負担が減り、国庫補助をゼロにできる―と説明しました。
 これに対し、「生活保護を受ける高齢者が増えるなか、2割負担で必要なサービスが遠ざかり、重度化がすすんで結局、介護離職を増やすことになる」「昨年行われた補足給付の見直しはあまりに過酷で、負担が倍になってサービスを控えるなど重大な影響が出ている。さらに負担増とは受け入れがたい」との声が上がっています。
 厚労省はこれまで、「要介護1・2」の人に対する生活援助や福祉用具の貸与について自己負担とすることも論点として示しており、9月中に見直し案を絞り込む考えのようです。
 すでに示されている「要介護1・2」の人に対する生活援助や福祉用具貸与の自己負担とあわせて、耐え難いサービス取り上げと負担増を強いるものです。
 介護保険利用料は昨年8月から一定所得者について2割に引き上げたばかりです。見直し項目に上げられている「補足給付」(施設入所の低所得者に対する食費・居住費補助)も、昨年8月、給付を受けていた人の切り捨てを行ったばかりです。見直しから1年もたたないうちに再び見直して際限のない負担増と給付減を強いるなど許されません。
 すでに行われた制度改悪によって「補足給付が受けられなくなり、13万円もかかる。家族の生活も破たんしてしまう」(60代女性、夫が特養入所中)など深刻な声が、認知症の人と家族の会のアンケートに寄せられています。
 厚労省は、制度見直しの理由について「制度の存続」を掲げていますが、これでは国民はサービスが取り上げられ、負担増だけが強いられることになります。
介護保険は2000年の制度発足以来、利用料は1割負担が続いてきましたが、昨年8月から一定所得以上の利用者に2割負担を求める仕組みが導入され、負担が跳ね上がった利用者の怒りを広げています。
そのさなかに2割負担の対象をさらに広げることを提案した厚労省の姿勢は、あまりに暮らしの実態を無視していると思います。
 2018年度の介護保険改変に向け、すでに厚労省は「要介護1、2」の生活援助、福祉用具貸与などを保険給付から除外するサービス利用の制限案を提示しています。今回の負担増は、それと一体での実施を狙ったものです。厚労省が8月19日の審議会に示した資料には2割負担の対象拡大だけでなく、利用料の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分を払い戻す制度の上限を引き上げる負担増案なども列挙されており、文字通り手あたり次第のやり方です。
 2割負担の対象者をどこまで拡大するか厚労省はまだ具体的に示していません。しかし、介護給付費など社会保障費の削減・抑制を求める財務省の財政制度等審議会は、まず65〜74歳を2割負担にし、その後75歳以上に拡大することを要求しており、「原則2割」へ道が開かれる危険が極めて濃厚です。昨年8月から次々と実行されている負担増は深刻な影響を広げています。
一定所得以上の人の2割負担だけでなく、特別養護老人ホームなどの入所者の食費・居住費補助対象者を、あわせて縮減したため、「どんどん負担が増え、生活が成り立たなくなる」「介護を続ける気力が失われる」と家族から悲痛な叫びが相次いでいます。サービス利用をあきらめたり、中断せざるをえなくなったりした人も生まれています。2割負担によって利用者や家族が苦しめられている事実は、厚労省のやり方が、きわめて容赦のないものであったかを示しています。
 そのことに無反省のまま、次から次へと負担増を強いる安倍政権のやり方は、異常というほかありません。新たな負担増はやめるとともに、すでに実施されている負担増は中止・撤回すべきです。利用者や家族に苦難と犠牲を強いる安倍晋三政権の介護保険改悪をやめさせましょう。
 負担増は介護保険だけではありません。医療費の自己負担でも70〜74歳の原則2割負担化に続き、75歳以上でも2割負担の導入を検討しています。
75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の保険料減免措置も来年度から縮減する方針です。高齢者が大切にされない仕組みは、現役世代の安心も保障されません。安倍政権の社会保障破壊ストップ、暮らしを守れ!の声を広げよう。

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